被災地の現状:岩手県 本格復興加速、住まい課題に

2015年03月06日

東日本大震災で沿岸部に被害が集中した岩手県。避難者は今年に入って3万人を切ったが、依然として多くの人が仮設住宅などで不自由な生活を送る。県の復興計画(8年間)は昨年度までに第1期「基盤復興期間」(3年間)を終え、第2期「本格復興期間」(同)に入った。復興計画の折り返し地点で、道路や海岸の復旧などのインフラ整備はある程度進む一方、生活の基盤となる住まいやまちづくり、雇用の場の確保が課題となっている。

◆住まい

 ◇災害公営住宅着工4割

県内避難者は2月現在2万9433人。県と市町村が建設を予定する災害公営住宅(復興住宅)5933戸のうち、着工は4割の2415戸、完成は2割の1049戸にとどまる。用地確保の遅れが響いているが、仮設生活の長期化で、住民の生活意欲の低下や高齢者の要介護度の悪化を招いている。

◆インフラ

 ◇復興道路31%通行可能

被災道路の復旧はほぼ完了した。港湾は傷痕が残るものの利用状況は震災前の水準を回復しつつある。「復興道路」として沿岸部を縦断する三陸沿岸道路、「復興支援道路」として内陸と沿岸を結ぶ宮古盛岡横断道路(宮古市−盛岡市)と東北横断道釜石秋田線(釜石市−花巻市)の建設は少しずつ進み、県内全体で通行可能区間は31%となっている。鉄道は三陸鉄道が昨年4月に全線で運転を再開。JR東日本は山田線のうち沿岸の不通区間(宮古−釜石)の2018年度までの完全復旧を目指す。

◆まちづくり

 ◇高台移転建設可能は4割

地域生活の基盤となるまちづくりだが、資材不足や人件費高騰、地元合意の遅れなどから進んでいない。都市再生区画整理事業は全18地区で着工したが、完成見通しは2016年以降。住宅を高台移転させる防災集団移転促進事業で建設が可能になったのは、計画88地区中33地区にとどまる。

◆産業復興

 ◇有効求人倍率1倍台超す

基幹産業の水産業は、魚市場の水揚げ量が震災前の7割、ワカメやカキなど養殖生産量が6割。商工業も含めて、施設工事の遅れや取引先の喪失などで震災前の生産水準に戻すのは容易ではない。人手不足も顕著で、有効求人倍率は沿岸部で2年6カ月連続で1倍台を超えている。

◇達増(たっそ)拓也・岩手県知事

岩手県の達増拓也知事=岩手県庁で2015年2月23日、安藤いく子撮影
岩手県の達増拓也知事=岩手県庁で2015年2月23日、安藤いく子撮影

震災発生から4年を迎え、復興事業の規模が非常に大きくなって大事な局面になっている。被災者の住まいで言えば、各市町村で持ち家再建のための宅地造成が始まったばかり。災害公営住宅(復興住宅)の建設は、ほとんどが完成まであと3年かかるという段階。長期化する仮設住宅生活が心配なので、被災者の生活支援に取り組みたい。課題は行政のマンパワー不足と財源確保、制度の充実だ。復興用地取得の迅速化のため復興特区法が改正されたが、制度設計に問題があり、遅れることもある。

復興住宅の入居希望者や高台での再建希望者が当初より減り、計画を見直しているケースもある。以前は迷いながら取りあえず希望した人が、最近になってようやく決断したという背景がある。市町村と連携し、被災者の意向変化に対応したまちづくりが必要だ。

集中復興期間(2011〜15年度)後の財政支援について、国は見通しを示していない。復興が完了するまで国の特例的な支援を継続し、地方負担が生ずることのない対応を早く示すよう、被災各県と連携して強く要望している。被災したのは経済力が弱い地域。地方負担が発生すると、県や市町村が復興関連以外の予算を削って回すことになり、県全体の生活や経済が劣化する。人口流出や経済低迷など負のサイクルにはまり、岩手は消滅の危機に陥る。国の対応に一定の評価をしているが、もう少し踏み込んで財政面から地元ニーズに応えてほしい。

http://mainichi.jp/feature/news/20150306mog00m040018000c.html

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