日独は「遠来の友」 様々な課題、ともに追求 駐日ドイツ大使
2015年3月7日18時41分
■ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン氏
ドイツと日本は、地理的には隣人ではありません。日本はアジアに位置する島国であり、ドイツはヨーロッパ各国に周りを囲まれています。かつて両国間には長い間交流がありませんでした。しかし150年あまり前から相互の関心の高まりにより、距離を超え「遠来の友」ともいうべき関係となり、日独は心の隣人となりました。
交流は医学や法律の分野で始まりました。今日、両国は共通の課題に直面しており、相手がどのように課題解決を行っているかに注目しています。両国とも天然資源に恵まれず、それでも確実かつ費用負担可能な形でエネルギー供給を実現していくための方法を模索しなければなりません。また両国ともに輸出志向型技術立国であり、イノベーションと自由貿易、そしてもちろん国民の高い教育訓練水準に支えられています。モノづくりのデジタル化を進める「インダストリー4・0(第4次産業革命)」は、新たな経済成長へと私たちを導くキーワードだと言えるでしょう。
他方、両国の社会では、世界でも最も急速に高齢化が進んでいます。子どもより高齢者が多い社会において、誰もが豊かで充実した生活を送れる社会をいかに実現していくかは、両国が解決しなければならない課題です。
かつて、多大な苦しみを引き起こした両国は、今ではともに、平和を愛する民主主義国となりました。平和と緊張緩和は、両国がこれからもともに追求していく課題です。また、日独ともに中規模の国であるだけに、自国の安全、繁栄、安寧のため、大国も含め各国が順守する確かな国際ルールを必要としています。ともに歩む明日のため、国連改革に取り組み、原理主義テロリズムと闘い、主要7カ国(G7)において緊密な協力をすすめています。
これらのテーマは、両国共通の課題です。類似の解決策を見いだした場合もあれば、正しいと考える対応が異なる場合もあります。両国は、様々な意見を出し合い、互いの経験からさまざまなことを学んでいける関係にあります。
アンゲラ・メルケル首相の日本訪問は、こうした交流の重要性をアピールするものであり、さらに新たな刺激をもたらすでしょう。現代の世界は、不透明さが増したかもしれませんが、だからこそ、信頼できる国々との協力が欠かせません。つまり日独両国は互いを必要としており、世界も両国を必要としているのです。(寄稿)