<復興費負担>復興支援に矛盾 国費使途疑問

Fluchtwege sind wichtiger  als Betondeiche

地盤沈下で失われた砂浜を再生する計画が復興交付金の効果促進事業で進められる十八成浜=石巻市

本年度まで全額国費負担だった東日本大震災の復興事業の一部に地元負担を導入する国の方針が近く、正式決定される見通しになった。被災地では、復興の事業の遅れを懸念する声の一方、負担を機に事業の在り方を見直すべきだとの冷静な受け止め方も出ており、反応は一様でない。

宮城県石巻市は災害危険区域に指定した津波被災地の低平地整備事業を、半島部の漁村集落など65以上の地区で実施する。地元負担が生じる効果促進事業で実施し、総事業費140億円のうち1億円弱が市の持ち出しとなる。

同市十八成浜(くぐなりはま)地区は約1.2メートル沈下した地盤をかさ上げし、県道を高台に付け替える。津波で消滅した砂浜を再生し海水浴客の誘致を図る計画はまだ着手に至らない。地元負担の導入でさらに遅れが生じ、工費も増加するのではないかとの不安が静かに広がる。

「十八成ビーチ・海の見える丘協議会」代表理事の沼倉憲一さん(67)は「砂浜は地元の財産。再生は大切な事業だ。最大被災地の石巻に負担を求めるのは復興支援に矛盾する」と国の姿勢を批判する。

ただ住宅の新築が制限される地域で進める低平地整備事業の必要性には懐疑的な意見もある。半島部の住民男性は「排水のための盛り土は必要だが、人口減が進む地域に大金をつぎ込んでどれだけの効果があるのだろうか」と話す。

市町村が新設する防潮堤は、5月に国が打ち出した復興事業方針の見直しに関する当初案から一転、国費負担が継続する見通しとなった。気仙沼市が22カ所分の7億6000万円と試算していた地元負担は取り越し苦労に終わる見込みだ。

「地元負担が消えるのはいいが、釈然としない気持ちも残る」と語るのは同市本吉町の漁業菊地敏男さん(67)。住んでいる前浜地区は、市が示した防潮堤新設計画をめぐって住民同士で勉強会を重ね、計画の一部変更を要望している。

菊地さんは「津波対策は地区ごとの実情に合わせるべきだ。あれほど巨大で一律に整備する防潮堤計画は、国の全額負担でなければあり得なかった」と述べ、地元負担の導入方針が防潮堤のありようを見直す契機になったと指摘する。

「避難道の整備や被災者の生活再建の方が急務。単純ではないだろうが、防潮堤にかけるカネと労力があるのなら、そちらに向けてほしい」と訴える。

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