Stand der Baumaßnahmen in Rikuzentakata

東日本大震災:高田松原に復興の兆し 海岸復旧工事が順調

毎日新聞 2015年11月09日 11時09分

http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20151109k0000e040116000c.html

かさ上げ工事が高さ10メートルを超えた防潮堤から望む「奇跡の一本松」。市街地跡の盛り土のために稼働していたベルトコンベヤーの解体も進む=岩手県陸前高田市の高田松原跡地で2015年10月、根本太一撮影
かさ上げ工事が高さ10メートルを超えた防潮堤から望む「奇跡の一本松」。市街地跡の盛り土のために稼働していたベルトコンベヤーの解体も進む=岩手県陸前高田市の高田松原跡地で2015年10月、根本太一撮影

東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市の高田松原跡で、県が進める海岸復旧工事が順調だ。高さ3メートルの防潮堤第1線堤は完成し、第2線堤も高さ約10メートルになり、残り約2メートルとなっている。砂浜再生の試験施工も近く始める予定で、ハード面に限れば復興の兆しは見えてきた。

重機で固めた第2線堤に立った。約10メートルの高さから見ると、目の前の「奇跡の一本松」に集う観光客は点のよう。堤の両側面では、重さ約2トンのコンクリート片を並べて盛り土を覆い固める作業が続いている。

かつては約7万本の松が生い茂り、海水浴シーズンには約17万人が訪れた高田松原。この国の名勝を、大船渡土木センターなど県は向こう50年で再生する事業に挑んでいる。

震災前、高さ5.5メートルの防潮堤があったが、津波で壊滅。復旧工事は海側に第1線堤、約100メートル内陸側に第2線堤(幅約2キロ)を設け、二重の堤防で津波から守る計画だ。第2線堤は12.5メートルにまで上げるため、長さ20メートルのクイを2万6000本打ち込んで地盤を強固にし、土を盛る。

砂浜再生は、自然復活が困難なため、他県から砂を購入して人工的によみがえらせる。この冬、第1線堤の外側幅30メートルの区間に敷き詰め、風と波による浸食の度合いを確認するという。

また、両線堤の間には来年度中、NPO法人「高田松原を守る会」が育成する松の苗木を移植し、一帯には「復興祈念」公園も整備される計画だ。担当者は「一刻も早く県と市民の期待に応えたい」と話す。

県は10月末、松原の復旧工事現場を初めて一般市民に公開した。参加者らは、防潮堤を覆うブロック片に「君の愛した街が今、よみがえるよ!」などと思い思いの寄せ書きをしていた。【根本太一】