2015年4月12日05時00分
東日本大震災の復興予算をめぐり、竹下亘復興相は11日、被災した岩手県の市町村長らと会談した。2016年度以降は被災地側の一部負担を検討する考えを伝えたが、自治体側からは反対意見が相次いだ。復興相は近く宮城、福島両県も訪れるが、復興予算の枠組みが固まる6月までせめぎ合いが続きそうだ。
岩手県釜石市で開かれた会合には、竹下復興相や小泉進次郎復興政務官らが出席し、被災地からは野田武則・釜石市長ら13市町村の首長らが参加した。
冒頭、竹下復興相は「復興の基幹事業は引き続き国費で対応していく」とあいさつ。その後、約2時間の会談は非公開だった。終了後、野田市長は「(国から)一部地方負担を検討しなければならないという発言もあった」と明らかにした。復興予算を国が全額負担する集中復興期間を今年度で終え、16年度以降は復興予算の枠組みを見直す考えを示されたという。
岩手県幹部によると、竹下復興相は「復興に使うお金は、国民からいただいた税金ということをおさえていただかなければ」と語ったという。
被災地側は、復興予算の地元負担に反対する姿勢を示した。大槌町の大水敏弘副町長は「市町村ごとに被害と復興の度合いが違う。資材や作業員の確保が難しい事情もくんでほしい」と訴えたという。
町では市街地のかさ上げ工事が始まったばかり。会談後、大水副町長は「町は重傷を負ってリハビリ中の段階。人口1万人の町が政令指定市並みの額の大事業を進めており、国に支援してほしい」と述べた。
戸羽太・陸前高田市長も「財政や復興状況をみて議論してもらわないと困る」と話した。市は今年度、市街地かさ上げと高台造成工事に約300億円を充てる。震災前の予算の2・7倍の規模だ。「社会教育施設や市役所も建てないといけない」とも語った。
市町村が懸念するのは厳しい財政状況だ。財政力指数は、震災前の10年度でも大槌町が0・31、陸前高田市が0・27と、全国平均の0・53を下回っていた。
会談では被災地側で負担する具体的な内容について説明がなかったという。終了後、竹下復興相は報道陣に「地方負担について共通の認識はできた」と話した。岩手県の中村一郎復興局長は「被災自治体は、自分の財布が痛まないから何でも国にやってもらったらいいという思いでは決してない」と語った。
(竹山栄太郎、斎藤徹、田渕紫織)