(いま伝えたい 「千人の声」2016)7割「震災前より体調悪化」 被災3県、住民アンケート

2016年3月11日05時00分

 東日本大震災の被災3県の住民に朝日新聞がアンケートした結果、震災前より体調が悪化したと答えた人が約7割に上った。収入が減った人も約6割いた。約半数の人は地域のつながりが薄れたと感じており、震災から5年たっても、被災した人たちを取り巻く状況は深刻だ。

■仮設暮らし「ひざ悪く」

アンケートは20ログイン前の続き12年から毎年、約1千人を対象に実施し、今年は619人から回答を得た。

体調については、震災前より「かなり悪くなった」が23%、「少し悪くなった」が46%だった。岩手県大槌町の仮設住宅で暮らす男性(67)は「狭い仮設では椅子を使えず、床に座る時間が長いので、ひざが悪くなった」と話す。

心の状態についても、震災前との変化を尋ねた(複数回答)。結果は「不安を感じることが増えた」48%、「気分が落ち込んだり、さびしくなったりする」37%、「イライラすることが増えた」28%、「あまり眠れない」25%など。悪化を訴える人が多く、「震災前と変わらず穏やか」は22%にとどまった。

岩手県山田町のアパートで暮らす自営業の女性(55)は「津波の映像を見ると亡くなった親戚を思い出し、寂しさが募る。自宅再建のめども立たず不安」。福島県楢葉町から同県会津美里町に避難している女性(77)は「原発事故で生活が一変し、気持ちが沈みがち。住まいが定まらず、精神的に不安定」という。

国や自治体に優先して取り組んでほしい課題(三つまで)では、「医療費の助成」が43%で昨年に続き最多。次いで「介護サービスの充実や福祉施設の再建・増設」30%、「月々の生活費の補助」28%など。昨年2番目に多かった「持ち家再建の資金支援」は、今年は24%で4番目だった。

■「世帯収入減」6割 福島「失業・廃業」25%

本人や世帯主の仕事の変化では、「震災前と同じ仕事」が46%、「転職」「失業・廃業」は各13%、「高齢で退職」が10%だった。

県別でみると、「震災前と同じ仕事」は岩手60%、宮城48%に対し福島29%。「失業・廃業」は岩手8%、宮城7%、福島25%だった。福島の回答者の74%は震災前と別の市町村に住んでおり、故郷を離れたことの影響がうかがえる。

震災前と現在の世帯収入の変化では、「減った」「無くなった」との回答の合計は福島67%、宮城61%、岩手57%。3県合計では6割を超えた。

福島県双葉町から同県いわき市に避難中の女性(41)は、両親と小学生の長男と4人暮らし。震災前は販売関係の会社員で月収は20万円近かった。

だが震災後に失職し、今は求職中で両親の年金と貯金が頼りだ。「なかなか条件に合う働き口がない。貯蓄を崩して生活する毎日」という。

■「仮住まい」43%、福島は半数以上 「地域の結びつき希薄に」51%

回答者の今の住まいは「仮設住宅」が36%、借り上げアパートなどの「みなし仮設」が5%で、親類宅も含めた「仮住まい」の人は43%(昨年61%)だった。仮住まいの人を県別にみると、岩手は42%(同59%)、宮城は35%(同58%)。福島は52%(同66%)で、なお半数以上に上った。

一方、自宅を再建・新築した人は37%(同26%)で、自治体が整備する災害公営住宅(復興住宅)は8%(同3%)。震災前の自宅に戻った人も6%いた。

地域の人の結びつきや近所づきあいについて、震災前との変化を尋ねると、「希薄になった」「どちらかといえば希薄に」が3県で計51%に上った。「密になった」「どちらかといえば密に」は計24%、「変わらない」も24%だった。

自宅を再建した人、災害公営住宅に入った人は、6割近くが希薄さを感じる一方、仮設住宅では4割強にとどまり、新たなスタートを切った人ほど、つながりが薄れたと感じている傾向が浮かんだ。

 

〈アンケート方法〉2012年に「いま伝えたい 千人の声」で取材した岩手、宮城、福島3県の被災者やその保護者のうち、転居先不明の人らを除く944人を対象に2月に郵送で実施。12年から毎年、同じ対象者にアンケートをしている。12年の取材時には全員が仮設住宅か「みなし仮設」で暮らしていた。

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