大槌高生がドイツの学校訪問 被災体験、復興状況紹介 「真剣に聞いてくれてうれしかった」 /岩手

日本の唱歌「ふるさと」を披露する大槌高の吹奏楽部員たち(奥)=ドイツ北部ビーレフェルトで

 【ビーレフェルト(ドイツ北部)中西啓介】大槌町の県立大槌高吹奏楽部の女子生徒4人が15日、ドイツ北部ビーレフェルトのギムナジウム(日本の中学高校に相当)を訪問した。生徒たちは東日本大震災での自らの体験や震災から5年が過ぎた町の復興状況を紹介し、同世代のドイツの学生と意見交換した。

 今回の訪問は、日独の若者交流を通じて被災地復興への貢献を目指す社団法人「独日三陸復興シナジーフォーラム」のドイツ人参加者らが2014年9月に、大槌高吹奏楽部を訪問したことがきっかけで実現した。

 生徒は大槌町の被害状況や、新たに建設が進む町立の小中一貫校などについて、写真を使って説明。法人のゲーザ・ノイエルト代表が東北全体の現状や福島第1原発事故の影響を紹介した。質疑応答ではドイツの学生から「防潮堤で今後、津波被害は防げるのか」「原発事故による発がんリスクの詳細な資料はないのか」などの質問が出た。

 講演の最後に生徒たちは日本の唱歌「ふるさと」を演奏した。同高2年の北湯口佳澄(かずみ)さん(17)は「皆さんが真剣に聞いてくれるのでうれしかった。発がん性の問題など、遠くの国で起きた事故のことをちゃんと考えていて感心しました」と振り返った。

 ギムナジウムのミヒャエル・ビートゥルスキー教諭は「ドイツの学生は15、16歳で大震災のことを詳しく知らない世代。当事者の生の体験を聞けたことは貴重だった」と話した。