加藤裕則、写真は福留庸友
2017年2月18日18時19分
宮城県気仙沼市本吉町を流れる沖ノ田川で、高さ約9メートルのコンクリートに挟まれた河床を安定させるため、石を敷く工事が続く。河口付近の両岸800メートルが、海沿いの防潮堤と同じ高さの堤防に覆われた。現在、別のルートに流している水を工事後に戻せば、幅3メートル前後の川が現れる。
東日本大震災では各地で津波が川をさかのぼり、被害が拡大した。このため、県は37の河川の河口で、防潮堤と高さを合わせた堤防を築くことにした。
工事前はサケが遡上(そじょう)し、ホタルやオタマジャクシが生息する川だった。かつて釣りをして遊んだという男性(56)はV字谷のような姿を見て「環境や景観に配慮しないとんでもないものになった」となげく。一方で、「安全が優先」「豊かな自然は上流にあるから問題ない」と災害への備えを評価する住民もいる。
県は昨年、川の内側を緑化することにした。だが、地元漁協が「大雨で土砂が海に流れ込む」と反対し、一時中断。計画を練り直している。(加藤裕則、写真は福留庸友)